saoriotsuka-diary

イラストレーター大塚砂織の由無し事を綴るページです。仕事の紹介もしますが、ベランダ園芸の話やたわいない話が多いかも。

コンポスターは真実の魔法使い その1 メンバー紹介

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というタイトルはトッドラングレンのアルバムタイトルのもじりですが(特に関連はないですわたしがトッドを好きなだけです💦)、なぜか唐突にコンポストに対する愛を書き綴ってみようと思います。

 

最近はコンポスターを導入している方も多いのではないでしょうか。わたしもコンポスター愛好家八年目です。お読みの方にはコンポストとはなんぞや、という方もいるかと思いますので、軽く説明をしますと、要するに生ごみを分解して土に返す仕組みです。とはいえ、難しい事も手間もさしてなく、基本的には日々やる事は「コンポスターに水気を切った生ゴミを投入するだけ」というシステムです。コンポストを作るための容器や装置がコンポスターです。

 

これを導入しますと、生ごみとして家庭内に存在するものが減るというかなくなりますのでじめじめした季節もキッチンにはいやーな生ごみがなくなり超快適サワヤカ、ごみ工場での焼却量も減るので燃料・輸送・処理場CO2負荷も減りますし、堆肥として資源が循環できるので園芸などする人は肥沃な土で植物を栽培すれば植物によるCO2保持あるいは土壌内保留効果もありかつ化学肥料削減で土壌の流出窒素汚染も削減できるかもしれないですし、ついでに家庭菜園なら食料も生産できたり、残り物がでないのでフードロス削減的にも吉、というまあまあ四方八方winwinなシステムです※1。しかもお金もほとんどかからない。

 

と、理屈はこんな感じですが、もうちょっと情緒的に語りますと、ごみが土に還る、というプロセスを実感するのは楽しいです。全ては消えゆき、土は黒々と肥える。そしてそこからまた新しい芽吹きがはじまる。こういう塩梅でまわってるのね、世界。という納得感というか不思議な安らぎがあります(なんか怪しい勧誘みたいな事言ってる気がしなくもない。まあ、めくるめくコンポストの世界にお誘いしていなくもないんで、当たっていないと言えなくもない)。また、園芸愛好家には土の質を高め循環利用できる(ベランダ人には特に切実)という意味でもポイント高いです。

 

まあ、しかしですね。そんな事して何になるの、めんどくさい、やだー、という方ももちろんおられると思いますが、以下「愛好家による、興味ある方や愛好家のための」視点で話を突き進めます、あしからず。

 

さて、やり方としてはいくつかあって、

 

1.なんのことはない、土に埋める

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広い庭や畑がある人には最高に楽チンなソリューションです。たいていの生ごみは土に埋めときゃ土に帰ります、いつかは。土に埋まってる限りは匂いません。ただ、同じ場所に連続投入すると量によっては分解スピードが追いつかないので、ある程度埋めたらそこは分解するまで寝かせて別の場所に...というような運用になると思うんですが、するってえと複数の穴を用意するとか、地面面積がある程度ないと困りますね。埋めきれないでごみが地面に露出してしまうとトラブル発生の予感です。

 

2.キエーロ

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これは新進気鋭のシステムで、とはいっても要は1の「土に埋める」を大きな箱の中で行うものです。投入量は箱の中で区画を決めて調整して、だいたい1週間ぐらいでまわるようなので楽チンそうです。この土は基本的に入れ替えの必要がなく、メンテナンスは箱が壊れてないかとか点検するぐらいだと思いますので、室外に「土が入った大きな箱」が設置できる環境がある人には一押しシステム。専用の箱の導入コストがありますが、工夫で自分の持ってる他の箱的なもの(いらなくなった衣装ケースとか)でも運用できそうです。堆肥はいらないんだけど、という方にも、土の容量が増えないので吉です(もちろん堆肥利用したい方はその土は堆肥として使えます、その場合新しく土を箱に足すとよいでしょう)。わたしも一部、プランターを利用して近い運用をしています。匂いは、ちゃんと埋めれば匂わないです。箱の中なんで、日々すごーく生ゴミが多い、みたいな方だと処理量的に回転がうまくいくのかはチトわかりませんが。

 

3.ダンボーコンポスト

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これはキエーロの箱を小規模にしてダンボールで運用するという感じに近いですが、処理できる量がキエーロに比べ少ないので、菌による分解を早く促進するためにこまめに攪拌したりして好気性発酵を促します。メンテナンス的には日々の攪拌の手間と、ダンボール自体もいつか分解されるので定期的な交換が必要ではないかと思われます。基本的には匂いはしない方かと思われますので、室内愛好家が多い印象です。こちらも処理量は箱の大きさによるのではないでしょうか。

 

4.設置型コンポスト

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筒型の蓋つきの大きな容器を地面に設置して、生ごみを上から積んで発酵させて堆肥化させ、土に還していくという方法です。さっき書きましたが1や2のように土にそのまま埋める場合は埋める穴をいくつか作って投入分を調整しないと投入量が分解のスピードに追いつかない場合もありますが、設置型の場合は上にどんどん積めるので大量に処理できます。日々はごみをぽいっと入れるだけですが、コンポスターがいっぱいになって堆肥化が終わったら中のものを出したりする作業が必要です。でっかいコンポスターの設置場所と、できた堆肥を地面に撒けるような庭や畑をある程度確保できる方向けですね。いちおうコンポストは密閉されてるので匂いはしないと思いますが、中で大量の生ごみなどが嫌気性発酵してると思うんで、近づけばあるかも(すみません、わたし庭がなくてやった事ないもので、想像です)。

 

5.バケツ型コンポスト

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バケツ型のコンポスター(本物のバケツではなく)内で密閉してある程度嫌気性発酵を行って分解しやすくしてから土に埋めるので「かさを減らしてから短期間で土中分解できる」のがメリット、つまり処理量が多い割に省スペースです。コンセプトは4の設置型に近いですが小規模に完結できるので、ごみを埋める場所があまりない、キエーロを置くような場所もない、堆肥をよく使う、というような人には助かります。日々の手間は、バケツにごみを投入して、その時に一緒に米ぬかなども入れます。たまに一次発酵から土に埋めて二次発酵させるプロセスがあるのもちょっと手間ですし、バケツ内は嫌気性発酵なんでなんつーか発酵した匂いはあります。ただ、バケツ内で完結してるので、バケツを開ける時だけで、普段はバケツの外には匂いは漏れません。わたしが長年やってるのはこれです。楽っちゃ楽なんですが、楽じゃないと言えば楽じゃない部分もありますね。そこを今後詳しく書いていこうかと。

 

コンポストは好気性発酵と嫌気性発酵どっちの力を借りるかという方法の差はあれ、要は全部「土に返す」がゴールです。土の世界の多様性、分解と発酵、虫やら微生物やら菌やらが織りなす自然循環により地下と地上はつながってるんですね。はて、ここまで読んで、「え?今なんか聞き捨てならない事言わなかった?」と感じた方もいられると思います。そうです、です。分解途上の生ごみは虫さんたちの好物でもありますんで、うっかりすると虫が湧きます(分解自体は虫がいなくても微生物と菌だけでもやってくれるんですが)。しかし、うっかりしなければ虫が苦手な方でも運用できると思います。

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コンポスト方法と虫との親密度を考察してみるとこうです。

 

1.土に埋める ーまあまあ遠い隣人でいられるかも

夢見つつ深く埋めよ。つまりですね、生ゴミが土壌に決して表出しないぐらいに埋めとけば匂いは封じられます。そもそも虫たちは匂いを頼りに寄ってくるというのもありますんで、ちゃんと埋めれば土のバリヤー効果は絶大です。

とは言っても野外にはあらゆる多種多様な虫たちがたくさん生きておりますし、土の中にもすでにいろいろいらっしゃるので、まあ、いるかもしれないけど、皆さん基本的には土の下でごにょごにょやってくれるわけで、遭遇リスクは低めだと思います。(ただし、横着してごみを露出させたり、何やら掘り返すのが好きな小動物が出る場合対策しないと破局です。)

◯うっかり回避ポイント・・・ごみを露出させない!

 

2.キエーロ ー遭遇率は低めでは

これは1の別バージョンなので、同様に生ゴミが表面に露出しなければ大丈夫だと思います。キエーロは箱入りでまず「虫のいない土」をセットして始める事が多く、生ゴミが一度に同じ場所に大量に停留しないし、土バリヤーのご加護もあるんで、虫侵入のリスクはかなり低そうです。出てもコバエの成虫ちゃんがちょっといるかな、ぐらいなのでは。外でやってる分にはそんなに気にならないんじゃないでしょうか。

◯うっかり回避ポイント・・・同上

 

3.ダンボーコンポスト ーここで会ったが百年目

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これもキエーロと同様で、かつ室内で運用する事が多いので、虫侵入リスクは低めと思います。ただ、室内でやってて万が一虫ちゃんが出た場合は、たいがいの人間は室内で虫ちゃんと共存するのは苦手なため、まあまあ悩ましいような気がします。

◯うっかり回避ポイント・・・そもそも室内に虫を入れない!

 

4.設置型コンポスト ー虫は友だち、怖くない派の方向け

コンポストの中は確実に虫さんたちの絶好の高級マンションになりえるでしょう。だって、野外にあって、嫌気性発酵した生ごみが大量に積まれてるんですよ!下が地面と直通なのと、開け閉めの蓋がデカいので、やっぱり侵入リスクは多めではないかと。ただ、コンポストにごみを投入する時だけ虫さんにけっこう遭遇するけど、一応閉じたコンポストの中で完結してくれる設計のはずなので、まあ、外だし、庭のすみっこでわたしにはそんなに近くないしな!つか、開けていない限りは存在しない。いたとしても、うちの中じゃなし、外界の事は大いなる自然に任せるがままにレットイットビー。という距離感でのお付き合い、おおらかな心づもりで運用できる方なら大丈夫でしょう。

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◯うっかり回避ポイント・・・虫とわたしは隣人だが同居はしていないという概念の確立

 

5.バケツ型コンポスト ーベイビー、覚悟は決めたかい?

密閉型なんで蓋の開け閉めの時に気をつければ大丈夫ですけど、4の状況に近いです。しかし、虫さんが苦手な方にはちょっと、あのう...ハードル高めかもしれません。というのは、発生した場合(しないで運用できる可能性ももちろん大いにありますけども)、ベランダというのは「外ではあるが延長された室内」的なあいまいな存在なので、むしろ畑の片隅にある設置型コンポストより虫ちゃんとは物理的な距離のみならず心の距離も近めにならざるをえないと言えます。

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もちろん、コンポスターの中にお住まいになるんで、外まで進出してくるわけではないんですが、なんか常に「奴らはそこにいる」というのが心の片隅でひっかかる。

でも、虫ちゃんが侵入できるかどうかは運用する場所にもよるので、いっそ室内運用なら侵入リスクは低いかも?ただ、これも4同様「室内でやっててもしも虫が出た」場合は、虫が苦手な方は特に、結構、いや、相当厳しいかも。

◯うっかり回避ポイント・・・光の速さで蓋の開け閉めを。あるいは、うっかり心の準備をせずバケツコンポストをやらない。

 

なので、虫ちゃんにあんまり遭遇したくないなあ...という場合、4と5はオススメしません。

また、「わたしは絶対に虫氏とはお会いしたくないのである」という決然たる意志をお持ちの方に向けましては、

 

6.家庭用電気生ごみ処理機

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電気の力で乾燥させたり攪拌させたりする方法です。スイッチonでアラもうできてる、これまた楽チンそうですが、電気代はかかるのでエコ度は低いかも。また、乾燥させたものはあくまで「生ごみを乾燥させたもの」なので、そのまますぐ堆肥利用はできないため、やっぱり土に埋める工程はありますね(堆肥利用しない場合、「減量したごみ」としてごみに出す事になります)。乾いてたりすっかり処理された後のものなんで、匂いもないし、虫がわく可能性はかなり低いと思います。一番のネックは「導入コストが高い」。また、電気製品って、メンテナンス(装置の掃除とか)とか故障とかのリスクはないとはいえないかもしれない。

 

という選択肢もあります。

 

逆に「虫愛づる姫」タイプの方におかれましては、

 

7.ミミズコンポスト

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分解の過程でミミズさんたちに手伝ってもらう方式です。土の中にミミズに生ゴミを食べてもらい、フンにして、堆肥を得るわけです。ただ、当たり前なんですが、生き物を育てるというのは大変なことも多々あります。お迎えするからにはきちんと世話をしてあげたいものです(というか、しないでいると多分破局を迎えます)。どうやら分解中のガス発生低減については他のコンポストよりすぐれているらしいです。

 

8.アメリカミズアブコンポスト

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消化力にすぐれ、また成虫も清潔なアメリカミズアブちゃんは分解のつよーい味方で、北米などでは活発に利用されているようです。分解力の旺盛さを考えるとメリットはミミズコンポストよりあるかもしれませんね。ただ、お子さんの彼らは個性的というか一般受けしないルックスですので玄人向けかも、というか、日本であえて実践してる人はかなり少数派の好事家では。しかし、設置型コンポストやバケツコンポスト、さらに上記のミミズコンポストなどをしてると「偶然の共存者」になってしまう事がままありますので、潜在的な実践人口は多いかもしれない。

 

というところでしょうか。

あ、そうそう、他にもコンポストにはバリエーションがありまして、

 

9.回転式攪拌コンポスト

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バケツコンポストダンボーコンポストの中間というか、バケツ内を回転させて発酵分解スピードを上げるタイプのようです。と、書いてみましたが、すみません、回転式攪拌コンポストの運用についてはわたしは未知すぎるのでなんともいえません。ただ、キエーロのように土をそのまま運用するタイプではなく、やはりバケツ型のようにできた堆肥を容器から出して土と共に再利用するような工程があると思います。匂いも未知数です、詳しい方がいたら教えてくれると逆にうれしい。

 

10.バッグ型コンポスト

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ダンボーコンポスト的な活動をバッグの中でやる感じでしょうか。近年おしゃれな人々の間で人気のイケてるアイテムなんですが、わたしはまだ試した事がありません。不安材料としては「処理量が少なそう」というのと「ランニングコストが若干高そう」というのがありますが、気軽さではナンバーワンかもしれませんし、おしゃれでクリーンそうだし、好気性発酵なのもよいです。ときめきの予感⭐︎かもしれない。でも、ネットで体験談など調べると、これにも虫ちゃん同居の罠はなくはないような...?

 

などなど、一口にコンポストと言ってもいろいろあるのであった。以上、第一回目はコンポストの種類について紹介してみました。

ざっとはしょって紹介(この冗長さで?)しましたんで、それぞれのコンポストの詳しい運用方法は各自調べてみてください。まあ、こう書いてみるに多方面からやっぱキエーロ最高、って気もするんですが。

 

次回は本編、わたしのコンポスト道、この中でもまあ一般的には結構オススメしない方の部類に入るであろうバケツコンポストの喜怒哀楽を語っていこうかと思います。ではでは。

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コンポストで育ててるブロッコリー(葉っぱがボロボロなのはヒヨドリが食べちゃったせいです)

 

 

 

※1 コンポスト生成のプロセスでは、菌たちが分解を行う過程でCO2やメタンも発生しますよね。これは自然界での分解プロセスにはつきものですが、コンポスト、特に家庭用コンポストでのGHGガス発生の評価については、調べてみてもどうも定量的なデータが見つけられず...。CO2やメタン放出はまず化石燃料産業部門と畜産部門が莫大なので、家庭用コンポストの量はさして問題に上がることが少ないためデータがあまりないのでしょうか。(大型コンポスト施設などでは発生したメタンを回収再利用することで環境負荷を低減できるようですが、家庭で発生したメタンの回収はちょっと無理そうですよね)。メタンの温暖化係数はかなり高いのでちょっと気になりますが、多くの環境系提言(例えばこれとか)や行政ではコンポスト化は推奨されてますんで、やはり焼却や最終処分埋め立てなどよりはフードロスやら輸送負荷やら総合的に考えてまあマシなんだと思います。(カーボンニュートラル的な考え方も関係あるのかも?謎です)ただ、嫌気性発酵より好気性発酵のコンポスト方式の方がよさそうですね。詳しい人いたら教えてください。

年末駆け込み仕事紹介

また間が空いてしまいましたが、仕事の紹介をば。以下敬称略です。

 

双葉社の『精神科医が教えない「プチ強迫性障害」という「幸せ」』(杉山崇 著)という本の装画を描きました。

 

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強迫性障害を詳しく解説しつつ、こうした心の働きは人間が自分を守るために必要なメカニズムでもありながら、しかしそれが社会生活を送るにあたって困難になってしまうために「障害」なのであるという視点から、ではどう対処していけばいいのか、という事が書かれています。度合いの軽重はあれ、誰しも多少は思い当たる部分もありますしわたしも割とそういう傾向がある方なんですが、それがやはり重い場合、当事者の方はとても大変だろうと想像しますので、読者の方が少しでも負担を軽減できるヒントになればいいなあと思います。イラストは本文の中にある「雨時々曇り」予報に対して「大雨洪水警報」的な対策を取ってしまうのが強迫性障害、という話のあたりをイメージしました。

 

小学館サライ」の年始特大号の中で、50代からの歯磨きについての特集のイラストをちょこっと描いています。

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中高年になると、歯の健康、かなり気になるテーマですよね。定期健診、そろそろ行かないと...。

 

こちらはリクルートの「HOUSING」2月号で、家づくりについての特集ページのイラストを描いています。

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新春、今年こそ家を建てよう!と思ってる方には読み応えたっぷりそうです。

 

こちらは以前出ました彩図社の「思考実験」シリーズの図解版が出る事になりまして、また中のイラストを描き足しました。図解化して、さらにわかりやすくなっています!

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こちらは、ウェブサイトでのお仕事です。

『クラシック・ジャズに興味があるすべての人をつなぐ、音楽総合コミュニケーションサイト 音TOWN』

ontown.jp

で、イメージイラストを描きました。

 

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現在はプレオープン中で、本格始動は2022年春からのようです。こちらのサイトはクラシックやジャズの方面で、音楽を仕事にしたい人と音楽ビジネスなどの需要側、また音楽を育む関連の様々な機会とが出会える場所を作るというすごくすてきなサイトなのです!大きく育ってほしいです。

 

さてさて、まとめてお伝えしましたが、2021年も様々なお仕事に恵まれ、無事に年を越せそうです。紹介しきれなかったものもたくさんあるんですが、来年はもっとマメに紹介したいなあ(と毎年言ってますね💦)。それと、趣味で書いてるエッセイ的なブログ記事も(今年半ばにちょっとバタバタしてしまって以来また滞りがちですが💦💦)また気を取り直して再始動というか、書いていきたいなあと思います。こないだおおの麻里さんと忘年会してきて、ふたりして「絵を描いたり、クリエイティブなことをしている時が楽しいよね」という話でうなづきあいました。noranohaやらエッセイやら、特に仕事にならないようなことも楽しんでのんびりやっていきたいと思います。

ではでは、みなさま良いお年を&来年もよろしくお願いいたします!

 

カレンダー展の作品出来ました

カレンダー展に参加するというのを先日のブログで書きましたが、作品が出来ました(今かよ!って感があるんですが)ので、紹介していこうと思います。こちらはカレンダー展に参加した後、noranohaでも販売する予定です。またそれも準備が整いましたらここでお知らせいたしますね(まだ追っ付いてなくて五月雨式です)。

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去年まではシンプルな線画で色数も抑えてたんですが、今年は気分を変えて、カラフルにして、文字サイズも大きくしました。というのは、去年までは机の前に貼ったりなど、近距離で楽しむ感じを想定していたのですが、自分が使ってみて、ちょっと遠くから見たい機会も多かったんで、遠くからも見やすい感じを今年は意識してみた次第です。ちょっと楽しいシーンを集めてみました。

ギャラリーDAZZLEさんでのグループ展の詳細はこちらです。

 

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オリジナル カレンダー&カード展

2021年11月23日(火)~ 2021年11月28日(日)
12:00~19:00 (最終日17:00まで)

牛久直美 大塚砂織 小川メイ 尾崎千春
加藤聖子 古藤みちよ タニモトハル 
外川真千枝 naggy 花村信子 はるきさとし 
フジワラリュウセイ 松井晴美 松谷和恵 

アーティストによるオリジナルの2022年カレンダーとポストカードの展示販売。

オリジナル カレンダー&カード展 | exhibitions | gallery DAZZLE

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ポストカードも何種類か出す予定です。会場にはずっといるとかではないのですが、何度かできれば足を運びたいとは思っています(仕事次第...)。かわいいカレンダーをお探しの方、わたしのものに限らず多くの作家さんのカレンダーを購入できるチャンスですので、ぜひぜひ!

プラントベースのチーズ?おいしい!

さて、仕事の紹介です。プラントベースのチーズ屋さん、「Fromagic」さんの立ち上げで、ロゴのイラストを作るお手伝いをさせていただきました。

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チーズとチーズナイフ、そして葉っぱが目印。

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(こちらの写真はFromagicさんの公式Instagramよりお借りしました)

 

プラントベースのチーズとは?普通チーズは牛などのミルクで作りますが、こちらのチーズはカシューナッツなどの植物素材を使い、100%植物性でできたチーズなのですねー。最近植物性チーズはちらほら商品が出ていますが、まだまだ本格的に「ワインのおつまみ」のような楽しみ方をするものは多くは出回っていませんよね。こちらはそうした商品があるといいなーと思う人々(含むわたし)待望の、パーフェクト満足感なステキ食品なのです!

 

わたしが菜食をしてるご縁でFromagicの店主である霧立灯さんと知り合いまして、今回のご依頼となったのですが、お仕事させていただきました役得で、初売り分からチーズをいただきました。わーいわーい!

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こちらはカマンベール風のタイプ、Fromagic White(白かびチーズ)。

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こちらはゴルゴンゾーラなどの青カビ系チーズ、Fromagic Blue。

さてさてお味の方は...

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ちなみにこの日の献立は卵ソース風の豆腐※をかけたゆでキャベツのサラダ、厚揚げと野菜のパエリヤでございました。ワインもヴィーガンワインなんてものがアラ気付けばうちにあったわね(酒類のストックは欠かさないのが人生のモットー)、じゃあそちらと合わせて。

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両方ともすごい完成度!超おいしい!従来のチーズよりもこちらのほうが好きかも。しっかりコクも香りもありつつ、ソフトさもあり、ブルーのほうは従来のブルーチーズはちょっと苦手、という人にも、ブルーチーズの旨味はそのままに食べやすくなってるかもしれません。ワインに合うー。

 

というわけで、今回は仕事といいつつ、すっかりFromagicさんのファンになってしまい、次回の注文も今度はちゃんとお客として注文したいなと鼻息荒く次回注文解禁日を待っています。Fromagicさん、個人でお店をされていまして、製品は一つ一つ丁寧に手作りのため、今のところは一度の注文はそんなに大規模ではないそうなのですが、今後どんどん事業を拡大してほしいです。わたしが億万長者だったら投資するのにぃ。

興味を持たれた方、商品情報などはこちらのサイトからどうぞ。

 

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最新の注文日程がわかるFromagicさんの公式Instagramはこちら!↓

https://www.instagram.com/fromagic_cheese/

ではでは!

 

※ちなみに、卵ソース風の豆腐とは、水切りした豆腐にゆでかぼちゃを一かけほど合わせて、植物性マヨネーズとブラックソルトで和えたものです。ブラックソルトはヒマラヤ岩塩の一種で、硫黄の香りがとても強く、これを入れるとアラ不思議、とても卵っぽい雰囲気になっておいしい(つまり、硫黄の香りって旨味に関係あるんだなあという発見が...)のです。

菜食の人は、人それぞれ様々理由で菜食をしてると思うんですが、もともと食べていた肉や卵や牛乳などの「味が嫌いになった」とかではない人が多いと思います。そういう場合、理屈としては、プラの使い捨て袋をやめてエコバッグを使うみたいな感覚です。袋が嫌いになったわけではないと言いますか...で、菜食で作るもどき料理、まあがんもどきみたいなコンセプトの料理を割と楽しむ人が多いのです。そういうものを作るの、わたしも割と面白くて好きです。料理は無限の可能性!

カレンダー展参加のお知らせ

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(なにがなにって、まだ描きかけの作業中の試作画像ですみませんが💦カレンダーの枠線は入れない予定です)

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今日は短く告知を。

ギャラリーDAZZLEさんで2021年11月23日(火)から行われるグループ展の「カレンダー展」に参加いたします。noranohaでカレンダーを作っているのですが、自分でなんとなく作ってるといつも年末ギリギリになってしまうので、自分を鼓舞するため今回はこちらに参加して締め切りを設定するという算段にしてみました。詳細はこちらです↓

 

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2021年11月23日(火)~ 2021年11月28日(日)
12:00~19:00 (最終日17:00まで)

牛久直美 大塚砂織 小川メイ 尾崎千春
加藤聖子 古藤みちよ タニモトハル 
外川真千枝 naggy 花村信子 はるきさとし 
フジワラリュウセイ 松井晴美 松谷和恵 

アーティストによるオリジナルの2022年カレンダーとポストカードの展示販売。

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ポストカードの絵は参加者の花村信子さんのものです。すてきですね。

他の参加者の皆さんの絵もそれぞれすてき揃いですので、わたしも当日が楽しみです。自分ももっとちゃんと出来てきましたらまた随時お知らせいたします。って、〆を設定したのにこの遅々たる有様よ。いえ絶対当日までには間に合わせますので...!!!

 

最近の仕事から その2

本の挿絵の仕事をもうひとつ。

SBクリエイティブの新刊『「繊細さん」の4つの才能』(コートニー・マルケサーニ/和田美樹 訳)の中の挿絵を描きました。

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「Highly Sensitive Person (HSP) 」という、人より感じやすい感受性を持った気質の人を表す言葉が最近よく聞かれますね。この本はそうした方の特性と、その特性を持った人が自分に自信を持ち困難を和らげられるようなヒントが書かれています。HSPは病気や障害を表す医学的な診断の名前ではないようで、あくまで気質的なものらしいのですが、自分が普段抱えている生きづらさに名前がついて、そうした事に悩んだり様々葛藤を抱えているのはあなただけではない、そういう人がいるんだよ、という事を知るのは当事者にとって励ましというか理解というか、困難の解消またはうまく付き合う事に繋がるのかもしれませんね。わたしはどちらかというと、知らずに人を傷つけたりなども多いたちのとほほ人生でむしろ繊細さんとは真逆のぼんやりした「鈍感さん」なので、こういう風に思う、感じる人がいるのだなあ、という事を心に留めて、他者への配慮をなるべく忘れないように心がけたいなあと思います(って、思ってるそばから実践できてないんだよ!ってツッコミがあちこちから飛んできそうな気がする..ご、ごめん)。

 

というわけで、最近の仕事ふたつは、自分を知る、自分の周りを整える事で自分の人生を生きやすく、ポジティブに生きるための一助になるような本だったのですが、そうして自分でできる事で自分の人生をよりよくしていくのはすてきな事ですね。

いっぽうで、でも自分にはどうにもならない社会の不公平や不正により、いくら自分の側でがんばってもどうにもならない事もたくさんあったり、自分以外の人の困難が解消されないままだったり、そういうのをなんとかするにはやはり世直しというか、政治や社会を改善するのも大事ですよね。というわけで、ちょうど近々に選挙などもありますし、そうした社会アクションもしたり関心を持ったりしつつ、しかし自分の心身もいたわりつつ、寒いのであったかくして、がんばりすぎずお茶など飲みまして、楽しく過ごしたいですねえ。

最近の仕事から

すっかり仕事紹介をしてない今日この頃ですが、いろいろしております。ので、何回かに分けて紹介していこうかと思います。

 

まず、最近描きました書籍の挿絵の仕事。

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ダイヤモンド社から、「李家幽竹の風水大全」という、李家幽竹さんの集大成のような豪華本です。

こちらにはすごくたくさんイラストを描いています。イメージイラストから説明のイラストまで、いろいろありまして(何気に表紙の飾りも描いてます)、仕事をしてて楽しかったですので、本を開く読者の方にも楽しい気分が伝われば幸いです。

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たくさんあるんでたくさん紹介しちゃいました。とは言ってもまだまだたくさんあるんですが。小さいものたちのイラストなども、心を無心にして描けるので結構好きです。

 

わたしは風水は疎いのですが(って、すみません💦)、今回お仕事させていただき読んでみると、日常の小さな様々を少し気にかけたり丁寧にしてみたりすることで自分の心を整えたりポジティブになったりする、という意味では普遍的なテーマだなとも感じました。自分にあったところを取り入れて、日々を楽しく過ごせるならすてきなことですね。

 

次回紹介するのも、そうした「心」の問題を扱った本です。と、予告しつつ、ではまた。

 

明日は読みかけのままに ー 父への追憶 ー

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ホームページもリニューアルしたことだし、もっとブログも書こう、と思ってた矢先なのですが、父が入院したりもあり、ばたばたしてまたお留守になっていました。先日、父を見送ることになりまして、とりあえずひと段落なので、また徐々に通常モードにもどしていきたいと思います。

 

今日はそんなで、ちょびっと父の思い出話をしようと思います。わたしは家族のうちでは父に似ているほうで、似ていると言っても、朝寝坊なところとか、世間の常識にとらわれないマイペースなところ(非常識とも言う)とか、なんだか妙に反骨精神があったりだとか、若干とほほでヘンテコな部分が似ておりました。父も出版社勤務を辞めて自営で印刷業を始め、ずーっと自営業でしたので、そういう自営業気質も、わたしに影響したのかもしれません。

 

あまり子供と遊んだりなどしない人で、よく言えば多趣味、悪く言えば家族を顧みない自分の世界に重きを置く人でした。カメラ、本、ビデオ...なんというか文化おたくの走りですよね。その(家庭より自分の)趣味優先のおかげで、母は相当やりくりに苦労させられたそうです💦。

 

そんなわけで、わたしには直接的な触れ合いの思い出、一緒にどこかに行ったとか、遊んでくれたとかは正直あまりないんですが、父の部屋にずらっと並んでいた個人的な趣味のコレクション、たくさんの本、宮沢賢治や自然科学、ミステリーに英米文学、そして映画を録画するのが好きだったので、様々な映画ライブラリーの背表紙、オペラや音楽のCDなどから、たくさんの文化資本の恩恵を受けたと思いますので、その面では大変恵まれていたと思います。

 

ただ、余談ですが、父のビデオライブラリーの歴史は、記憶媒体の衰退でそれがぜーんぶおじゃんになる、という戦後高度経済成長の資源浪費インフラ変遷の歴史でもあります。いろんな面白そうな映画(しかも今のサブスクにはないようなレアなマイナー名画とか)を保存してたんで、わたしもあとで見よう、と思ってたものがたくさんあったのに、LDやらベータマックスやら8mmやらの記憶媒体だったんで、再生デッキの終焉とともにゴミになっちゃったんですね。ああ勿体無い。

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つわものどもが夢のあと、というか草も生えない規格覇権に翻弄されましたね。

 

さて、父はそんな事は物ともせずにいつも好きな事に邁進しておりまして、取り留めなく知的好奇心があちこち飛んでいた人というか、人生かけた積ん読の未聴ラーだったというか(いや、少しは消化してたと思いますが)、父の部屋を改めてまじまじ見てみますと、相変わらずのコレクションに、ベッドの横にはNEWTONの付録のでっかい元素番号表が貼ってあったり、真新しい「世界一美しいフクロウの図鑑」があったり、大学時代研究したフォークナーのコレクションがあったり、パソコンのそばには作りかけのライブラリー目録があったりで、きっと頭の中には「いつかこれをまた読もう、これをしよう、あれが知りたい」がまだまだ詰まってたのではないかと思うと、心残りがいっぱいだったろうなと思います。入院時に母に言ったことには「入院中の新聞をとっといてくれ、あとで読むから」とのことでした。その後、新聞を読めるどころの容態ではなくなってしまい、そのままだったのですが。

 

子供の頃、父の部屋兼居間に並んだたくさんの本やビデオ背表紙を眺めながら、「中にどんな事があるんだろう」と思いを巡らせたのがわたしの想像力の原点だったのかもなあと思います。そう思うと、やはり父の影響は大きく、もっと話をしないうちにお別れになってしまってさびしいですね。時間はいくらでもあったのに、ぼやっとしてるうちに、読みたい本は読みきれず、大事なことは何一つ話さないまま、人生はタイムオーバーになってしまうのかもしれません。わたしも、本棚にあった中央公論の世界の名著シリーズとか、いつか読みたいと思ってぜーんぜん読んでないんですが、死ぬまでに読む事ができるだろうか、うーむ。また、以前にも書きましたが、父の本を読み始めると、中に割とあれこれ書き込みがあったりするんですね。これからも、ふと手に取った古い本の中で、ふと父のひとりごとに出会えることもあるのかもしれないと思うと、うかつに本も手放せないなあとも思います。まだまだ開いていない、先の分からないページが人生にはあるのですが、開かないまま終わってしまう、そんなこともたくさんありますね。

 

先日、母と昔の写真を見ておりましたら、そんなわけで家族で出かけたことも少ないのですが、数少ないお出かけイベントの写真を見てると、父がカメラマンですので父の写真はほとんどないのに気付きました。母が言うには「父はいつもでっかいカメラのセットを持っていてカメラにかまけていたので、子供をおぶったりなどの世話はしてなかった」そうですが、まあそのカメラセットのおかげでこうして他の家族が思い出話に花を咲かせられる写真が残ってたりもするもので、愛情を表には出さなかったのですが、多少はやはり家族の時間を父なりに楽しんでいたのでしょう。(そのぶん母には苦労が多かったようで、ビタースイートな思い出話がアルバムからぽろりとこぼれてきたりもするんですが...)

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父が撮った母とわたし。母の手作りの服が懐かしいですね。

 

父は入院以来、コロナ情勢で家族との面会もままならぬままずっと一人で病院にいる事になってしまい、心細く孤独な闘病を2ヶ月も過ごしました。どうしようもない事ではあったのですが、やはり家族としてはやりきれない気持ちというか、人生の最後にひどくかわいそうな事をしたと様々な後悔を感じています。しかし、最後の最後の晩に、意識を失ってからではあったのですが、病院の計らいもありやっとなんとか病院から自宅に戻ることができました。深夜に自室のベッドで静かに呼吸するばかりの父の傍にいて見守っておりつつ、何も音がないのも寂しいなと、ふと父のテレビをつけてみると録画リストの中にサイモン&ガーファンクルのセントラルパークコンサートのビデオがありました。わたしは子供の頃、父がかけてた影響でサイモン&ガーファンクルが好きだったもので、それを流しながら父の手を握っておりました。流れてくる「Homeward bound」の歌詞に耳を傾けると、入院中ずっと「家に帰りたい」と言って先生や看護士さんを困らせていたという父の気持ちが歌われているようで胸が詰まり...。父にとって、まさに、家は好きなことに囲まれた心の逃避地であり、愛しい人が待つところだったのだろうなあと。お父さん、やっと家に帰ってこれてほっとしたね。少し、遅かったけども。

 

「お金・仕事・家事の不安がなくなる共働き夫婦 最強の教科書」

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東洋経済新報社からの新刊「お金・仕事・家事の不安がなくなる共働き夫婦 最強の教科書」 内藤眞弓 著、成宮 成(dig) カバーデザイン(ともに敬称略)のカバーイラストと中の挿し絵を描きました。カバーはデザイナーさんに色を決めていただき着彩いたしました。こういう場合はいつも、特色版の部分を同系色のCMYの版(今回はC版)で描いて納品しています。

おもに男女カップルでお子さんがいる・持つ予定がある共働き家庭で想定される、生活とお金、仕事の様々なシーン、ライフステージでのヒントがたくさんあり、不安なこの世を渡っていくのにとっても力強い一冊ではないかと思います。わたしには子供はいないのですが、そういう人にとってももちろんお金や働き方や気持ちにゆとりを保つ為の考え方などについてためになるお話が多々あって、ふむふむと読み進めますね。また、周囲のお子さんのいる家庭との付き合い方の理解にも役立つような気がします。

 

* * *

 

さて、この本の冒頭に、親世代と今の子育て世代では社会情勢がすっかり変わってしまって、昔の、親世代の頃の感覚ではやっていけないというお話があるんですが、「80年代は定期預金10年で資産が倍になった」「東京の新築マンションの価格は70年代の5倍」など、確かにそうなんですが、言われてみると驚愕ですね。ひぃー、昔ってそんなだったよね。それに比べて現代社会よ、タイト。超タイト。自分の親世代だけでなく自分もなんとなくその頃の感覚、「将来はなんとかなるさ」みたいな気楽さの記憶をぼんやり引きずりつつでついそういう夢を求めてしまいがちなのですが、現実の厳しさは容赦なく襲い来るのですよ。いろんなことがいろんな方面にめちゃ不安ですね。うーん。でも、すでに厳しい時代に生まれたもっと若い人のほうがその辺の感覚はシビアに持ってるのだろうと思うと、うーん、若い人のほうがもっと(精神的にも)しんどいですよね。ごめん...。大人がめげてる場合ではなく、生活の安心の大元になる政治とかシステムとか、やっぱりその辺にまず希望が持てる社会にしないとですねえ...。

 

ところで、またブログ更新の間がちょっと空いてしまいました。8月中旬から父が急に肺炎で(covid-19ではないです)入院してしまい、気持ちが落ち着かなくて、仕事はきちんとしているのですが、それ以外のことが全体におろそかになってしまっておりました。父は持病はありつつも普段の生活に支障なく過ごしていたのに突然のことで、この社会情勢でここのところあまり普段会って話もしておらず、その後も入院したままなのですが、病院もコロナ厳戒態勢につきお見舞いにもあまりいけませんで、ただよくなるのを願うばかり、しかしまだ闘病は長丁場になりそうで、わたしができることもあまりないのに心が宙ぶらりんで焦るような、しかし実際は何も手につかないような状態で過ごしております(句読点の多さに心の混乱が現れてしまいました)。こういう時、仕事があるとかえって心が落ち着くというのがありますね。それと、わたし自身の日常は通常通り過ごしておりますのでどうぞご心配なく。

しかし、こういうことに直面してみると、病気の人の苦しさ、また家族など周囲の苦しさ、医療従事者の方々のご苦労、いろんなことをつくづく感じ、今、かつてなく病気の脅威に皆が晒されているこの状況は、本当に難儀なことだなあと思います。気が滅入ってくるのですが、世の中がこんなだもの、そりゃだいたいの人はなんらか気が滅入ってくるのは当たり前かもしれず、低調気分はわたしだけじゃなかろう、とも思います(さっき希望が持てる社会にしたいとか言いつつ暗いですね。いや、でも、曇に隠れて今は見えないけどお日様はなくなってはいないはず...ですよね)。皆様、どうか無理せず自分をいたわってご安全にお過ごしくださいね。そして病める時も健やかなる時も万人を支えてくれるような社会であってほしいと切実に願います。

楽しきはドールハウスあるいは箱庭

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せっかくホームページを更新したので、その中から仕事の紹介などもボチボチしてみたいと思います。イラストを描く時、表現する題材、媒体によって表現方法が若干変わったりするのですが、書籍の装画など、画面の構図をばしっと決めて簡潔に見る人にメッセージを伝えたい時には比較的平面的、シンプルな表現、メタファー的だったり単純化したモチーフやアイデア勝負で描くのがわたしの好みです。

 

いっぽうで、上のイラストのように、説明的なイラストレーションなどではもう少し写実的というか立体的というか、細かい部分を描いたりするものもあり、そういうのも案外好きです。

こういう絵を描いてると、子供の頃絵本で街並みや家の構造の絵などを見るのが好きだったなーとか思い出しますね。各部分で、ここの部屋の人はこういう人でー、この戸棚はこんな風になっててー、とか、この街角ではこういう事が起こってて、みたいなちっちゃなシチュエーションを頭の中で考えて描いたりします(見る人もそういうのなんとなく考えながら見たりしますよね、こういうイラストって)。

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画数は多いですが、適正な時間さえいただければ(とは言っても、そんなに長期間でなくともいいんですが、今日頼んで明後日ラフ!みたいなスピード感だときびしいですねさすがに...💦)、楽しくノリノリですんで、もっと描きたい仕事です。空間を作るのって、なんか天地創造的(急に規模がばかでかい比喩)で、園芸とかインテリア考えたりとかもそういう快楽がありますよね。絵の中でもやっぱりそういう部分があるんですよねー。わたしの理想のお家、とか、理想の街、とか、絵の中なら描き放題ですもんね。

 

ところで、現実の我が家は...まあ、狭くて、おしゃれでもないんですが今の家で十分満足ではありつつも、現状は理想の100倍ぐらい本やら資料やらCDやらよくわからないものやらに囲まれてるんで、絵に描いたらえらい画数ですね。というか描きたくない。もっとスッキリシンプルに片付いた空間に生きたいですね、と思ってまたシンプル生活術の本とか買ってさらにものを増やしたりして。こらっ。だって、こういう絵もそうですけど、「脳内シミュレーション」って楽しいんだもん。ほほほ。