saoriotsuka-diary

イラストレーター大塚砂織の由無し事を綴るページです。仕事の紹介もしますが、ベランダ園芸の話やたわいない話が多いかも。

コンポスターは真実の魔法使い その1 メンバー紹介

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というタイトルはトッドラングレンのアルバムタイトルのもじりですが(特に関連はないですわたしがトッドを好きなだけです💦)、なぜか唐突にコンポストに対する愛を書き綴ってみようと思います。

 

最近はコンポスターを導入している方も多いのではないでしょうか。わたしもコンポスター愛好家八年目です。お読みの方にはコンポストとはなんぞや、という方もいるかと思いますので、軽く説明をしますと、要するに生ごみを分解して土に返す仕組みです。とはいえ、難しい事も手間もさしてなく、基本的には日々やる事は「コンポスターに水気を切った生ゴミを投入するだけ」というシステムです。コンポストを作るための容器や装置がコンポスターです。

 

これを導入しますと、生ごみとして家庭内に存在するものが減るというかなくなりますのでじめじめした季節もキッチンにはいやーな生ごみがなくなり超快適サワヤカ、ごみ工場での焼却量も減るので燃料・輸送・処理場CO2負荷も減りますし、堆肥として資源が循環できるので園芸などする人は肥沃な土で植物を栽培すれば植物によるCO2保持あるいは土壌内保留効果もありかつ化学肥料削減で土壌の流出窒素汚染も削減できるかもしれないですし、ついでに家庭菜園なら食料も生産できたり、残り物がでないのでフードロス削減的にも吉、というまあまあ四方八方winwinなシステムです※1。しかもお金もほとんどかからない。

 

と、理屈はこんな感じですが、もうちょっと情緒的に語りますと、ごみが土に還る、というプロセスを実感するのは楽しいです。全ては消えゆき、土は黒々と肥える。そしてそこからまた新しい芽吹きがはじまる。こういう塩梅でまわってるのね、世界。という納得感というか不思議な安らぎがあります(なんか怪しい勧誘みたいな事言ってる気がしなくもない。まあ、めくるめくコンポストの世界にお誘いしていなくもないんで、当たっていないと言えなくもない)。また、園芸愛好家には土の質を高め循環利用できる(ベランダ人には特に切実)という意味でもポイント高いです。

 

まあ、しかしですね。そんな事して何になるの、めんどくさい、やだー、という方ももちろんおられると思いますが、以下「愛好家による、興味ある方や愛好家のための」視点で話を突き進めます、あしからず。

 

さて、やり方としてはいくつかあって、

 

1.なんのことはない、土に埋める

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広い庭や畑がある人には最高に楽チンなソリューションです。たいていの生ごみは土に埋めときゃ土に帰ります、いつかは。土に埋まってる限りは匂いません。ただ、同じ場所に連続投入すると量によっては分解スピードが追いつかないので、ある程度埋めたらそこは分解するまで寝かせて別の場所に...というような運用になると思うんですが、するってえと複数の穴を用意するとか、地面面積がある程度ないと困りますね。埋めきれないでごみが地面に露出してしまうとトラブル発生の予感です。

 

2.キエーロ

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これは新進気鋭のシステムで、とはいっても要は1の「土に埋める」を大きな箱の中で行うものです。投入量は箱の中で区画を決めて調整して、だいたい1週間ぐらいでまわるようなので楽チンそうです。この土は基本的に入れ替えの必要がなく、メンテナンスは箱が壊れてないかとか点検するぐらいだと思いますので、室外に「土が入った大きな箱」が設置できる環境がある人には一押しシステム。専用の箱の導入コストがありますが、工夫で自分の持ってる他の箱的なもの(いらなくなった衣装ケースとか)でも運用できそうです。堆肥はいらないんだけど、という方にも、土の容量が増えないので吉です(もちろん堆肥利用したい方はその土は堆肥として使えます、その場合新しく土を箱に足すとよいでしょう)。わたしも一部、プランターを利用して近い運用をしています。匂いは、ちゃんと埋めれば匂わないです。箱の中なんで、日々すごーく生ゴミが多い、みたいな方だと処理量的に回転がうまくいくのかはチトわかりませんが。

 

3.ダンボーコンポスト

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これはキエーロの箱を小規模にしてダンボールで運用するという感じに近いですが、処理できる量がキエーロに比べ少ないので、菌による分解を早く促進するためにこまめに攪拌したりして好気性発酵を促します。メンテナンス的には日々の攪拌の手間と、ダンボール自体もいつか分解されるので定期的な交換が必要ではないかと思われます。基本的には匂いはしない方かと思われますので、室内愛好家が多い印象です。こちらも処理量は箱の大きさによるのではないでしょうか。

 

4.設置型コンポスト

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筒型の蓋つきの大きな容器を地面に設置して、生ごみを上から積んで発酵させて堆肥化させ、土に還していくという方法です。さっき書きましたが1や2のように土にそのまま埋める場合は埋める穴をいくつか作って投入分を調整しないと投入量が分解のスピードに追いつかない場合もありますが、設置型の場合は上にどんどん積めるので大量に処理できます。日々はごみをぽいっと入れるだけですが、コンポスターがいっぱいになって堆肥化が終わったら中のものを出したりする作業が必要です。でっかいコンポスターの設置場所と、できた堆肥を地面に撒けるような庭や畑をある程度確保できる方向けですね。いちおうコンポストは密閉されてるので匂いはしないと思いますが、中で大量の生ごみなどが嫌気性発酵してると思うんで、近づけばあるかも(すみません、わたし庭がなくてやった事ないもので、想像です)。

 

5.バケツ型コンポスト

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バケツ型のコンポスター(本物のバケツではなく)内で密閉してある程度嫌気性発酵を行って分解しやすくしてから土に埋めるので「かさを減らしてから短期間で土中分解できる」のがメリット、つまり処理量が多い割に省スペースです。コンセプトは4の設置型に近いですが小規模に完結できるので、ごみを埋める場所があまりない、キエーロを置くような場所もない、堆肥をよく使う、というような人には助かります。日々の手間は、バケツにごみを投入して、その時に一緒に米ぬかなども入れます。たまに一次発酵から土に埋めて二次発酵させるプロセスがあるのもちょっと手間ですし、バケツ内は嫌気性発酵なんでなんつーか発酵した匂いはあります。ただ、バケツ内で完結してるので、バケツを開ける時だけで、普段はバケツの外には匂いは漏れません。わたしが長年やってるのはこれです。楽っちゃ楽なんですが、楽じゃないと言えば楽じゃない部分もありますね。そこを今後詳しく書いていこうかと。

 

コンポストは好気性発酵と嫌気性発酵どっちの力を借りるかという方法の差はあれ、要は全部「土に返す」がゴールです。土の世界の多様性、分解と発酵、虫やら微生物やら菌やらが織りなす自然循環により地下と地上はつながってるんですね。はて、ここまで読んで、「え?今なんか聞き捨てならない事言わなかった?」と感じた方もいられると思います。そうです、です。分解途上の生ごみは虫さんたちの好物でもありますんで、うっかりすると虫が湧きます(分解自体は虫がいなくても微生物と菌だけでもやってくれるんですが)。しかし、うっかりしなければ虫が苦手な方でも運用できると思います。

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コンポスト方法と虫との親密度を考察してみるとこうです。

 

1.土に埋める ーまあまあ遠い隣人でいられるかも

夢見つつ深く埋めよ。つまりですね、生ゴミが土壌に決して表出しないぐらいに埋めとけば匂いは封じられます。そもそも虫たちは匂いを頼りに寄ってくるというのもありますんで、ちゃんと埋めれば土のバリヤー効果は絶大です。

とは言っても野外にはあらゆる多種多様な虫たちがたくさん生きておりますし、土の中にもすでにいろいろいらっしゃるので、まあ、いるかもしれないけど、皆さん基本的には土の下でごにょごにょやってくれるわけで、遭遇リスクは低めだと思います。(ただし、横着してごみを露出させたり、何やら掘り返すのが好きな小動物が出る場合対策しないと破局です。)

◯うっかり回避ポイント・・・ごみを露出させない!

 

2.キエーロ ー遭遇率は低めでは

これは1の別バージョンなので、同様に生ゴミが表面に露出しなければ大丈夫だと思います。キエーロは箱入りでまず「虫のいない土」をセットして始める事が多く、生ゴミが一度に同じ場所に大量に停留しないし、土バリヤーのご加護もあるんで、虫侵入のリスクはかなり低そうです。出てもコバエの成虫ちゃんがちょっといるかな、ぐらいなのでは。外でやってる分にはそんなに気にならないんじゃないでしょうか。

◯うっかり回避ポイント・・・同上

 

3.ダンボーコンポスト ーここで会ったが百年目

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これもキエーロと同様で、かつ室内で運用する事が多いので、虫侵入リスクは低めと思います。ただ、室内でやってて万が一虫ちゃんが出た場合は、たいがいの人間は室内で虫ちゃんと共存するのは苦手なため、まあまあ悩ましいような気がします。

◯うっかり回避ポイント・・・そもそも室内に虫を入れない!

 

4.設置型コンポスト ー虫は友だち、怖くない派の方向け

コンポストの中は確実に虫さんたちの絶好の高級マンションになりえるでしょう。だって、野外にあって、嫌気性発酵した生ごみが大量に積まれてるんですよ!下が地面と直通なのと、開け閉めの蓋がデカいので、やっぱり侵入リスクは多めではないかと。ただ、コンポストにごみを投入する時だけ虫さんにけっこう遭遇するけど、一応閉じたコンポストの中で完結してくれる設計のはずなので、まあ、外だし、庭のすみっこでわたしにはそんなに近くないしな!つか、開けていない限りは存在しない。いたとしても、うちの中じゃなし、外界の事は大いなる自然に任せるがままにレットイットビー。という距離感でのお付き合い、おおらかな心づもりで運用できる方なら大丈夫でしょう。

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◯うっかり回避ポイント・・・虫とわたしは隣人だが同居はしていないという概念の確立

 

5.バケツ型コンポスト ーベイビー、覚悟は決めたかい?

密閉型なんで蓋の開け閉めの時に気をつければ大丈夫ですけど、4の状況に近いです。しかし、虫さんが苦手な方にはちょっと、あのう...ハードル高めかもしれません。というのは、発生した場合(しないで運用できる可能性ももちろん大いにありますけども)、ベランダというのは「外ではあるが延長された室内」的なあいまいな存在なので、むしろ畑の片隅にある設置型コンポストより虫ちゃんとは物理的な距離のみならず心の距離も近めにならざるをえないと言えます。

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もちろん、コンポスターの中にお住まいになるんで、外まで進出してくるわけではないんですが、なんか常に「奴らはそこにいる」というのが心の片隅でひっかかる。

でも、虫ちゃんが侵入できるかどうかは運用する場所にもよるので、いっそ室内運用なら侵入リスクは低いかも?ただ、これも4同様「室内でやっててもしも虫が出た」場合は、虫が苦手な方は特に、結構、いや、相当厳しいかも。

◯うっかり回避ポイント・・・光の速さで蓋の開け閉めを。あるいは、うっかり心の準備をせずバケツコンポストをやらない。

 

なので、虫ちゃんにあんまり遭遇したくないなあ...という場合、4と5はオススメしません。

また、「わたしは絶対に虫氏とはお会いしたくないのである」という決然たる意志をお持ちの方に向けましては、

 

6.家庭用電気生ごみ処理機

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電気の力で乾燥させたり攪拌させたりする方法です。スイッチonでアラもうできてる、これまた楽チンそうですが、電気代はかかるのでエコ度は低いかも。また、乾燥させたものはあくまで「生ごみを乾燥させたもの」なので、そのまますぐ堆肥利用はできないため、やっぱり土に埋める工程はありますね(堆肥利用しない場合、「減量したごみ」としてごみに出す事になります)。乾いてたりすっかり処理された後のものなんで、匂いもないし、虫がわく可能性はかなり低いと思います。一番のネックは「導入コストが高い」。また、電気製品って、メンテナンス(装置の掃除とか)とか故障とかのリスクはないとはいえないかもしれない。

 

という選択肢もあります。

 

逆に「虫愛づる姫」タイプの方におかれましては、

 

7.ミミズコンポスト

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分解の過程でミミズさんたちに手伝ってもらう方式です。土の中にミミズに生ゴミを食べてもらい、フンにして、堆肥を得るわけです。ただ、当たり前なんですが、生き物を育てるというのは大変なことも多々あります。お迎えするからにはきちんと世話をしてあげたいものです(というか、しないでいると多分破局を迎えます)。どうやら分解中のガス発生低減については他のコンポストよりすぐれているらしいです。

 

8.アメリカミズアブコンポスト

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消化力にすぐれ、また成虫も清潔なアメリカミズアブちゃんは分解のつよーい味方で、北米などでは活発に利用されているようです。分解力の旺盛さを考えるとメリットはミミズコンポストよりあるかもしれませんね。ただ、お子さんの彼らは個性的というか一般受けしないルックスですので玄人向けかも、というか、日本であえて実践してる人はかなり少数派の好事家では。しかし、設置型コンポストやバケツコンポスト、さらに上記のミミズコンポストなどをしてると「偶然の共存者」になってしまう事がままありますので、潜在的な実践人口は多いかもしれない。

 

というところでしょうか。

あ、そうそう、他にもコンポストにはバリエーションがありまして、

 

9.回転式攪拌コンポスト

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バケツコンポストダンボーコンポストの中間というか、バケツ内を回転させて発酵分解スピードを上げるタイプのようです。と、書いてみましたが、すみません、回転式攪拌コンポストの運用についてはわたしは未知すぎるのでなんともいえません。ただ、キエーロのように土をそのまま運用するタイプではなく、やはりバケツ型のようにできた堆肥を容器から出して土と共に再利用するような工程があると思います。匂いも未知数です、詳しい方がいたら教えてくれると逆にうれしい。

 

10.バッグ型コンポスト

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ダンボーコンポスト的な活動をバッグの中でやる感じでしょうか。近年おしゃれな人々の間で人気のイケてるアイテムなんですが、わたしはまだ試した事がありません。不安材料としては「処理量が少なそう」というのと「ランニングコストが若干高そう」というのがありますが、気軽さではナンバーワンかもしれませんし、おしゃれでクリーンそうだし、好気性発酵なのもよいです。ときめきの予感⭐︎かもしれない。でも、ネットで体験談など調べると、これにも虫ちゃん同居の罠はなくはないような...?

 

などなど、一口にコンポストと言ってもいろいろあるのであった。以上、第一回目はコンポストの種類について紹介してみました。

ざっとはしょって紹介(この冗長さで?)しましたんで、それぞれのコンポストの詳しい運用方法は各自調べてみてください。まあ、こう書いてみるに多方面からやっぱキエーロ最高、って気もするんですが。

 

次回は本編、わたしのコンポスト道、この中でもまあ一般的には結構オススメしない方の部類に入るであろうバケツコンポストの喜怒哀楽を語っていこうかと思います。ではでは。

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コンポストで育ててるブロッコリー(葉っぱがボロボロなのはヒヨドリが食べちゃったせいです)

 

 

 

※1 コンポスト生成のプロセスでは、菌たちが分解を行う過程でCO2やメタンも発生しますよね。これは自然界での分解プロセスにはつきものですが、コンポスト、特に家庭用コンポストでのGHGガス発生の評価については、調べてみてもどうも定量的なデータが見つけられず...。CO2やメタン放出はまず化石燃料産業部門と畜産部門が莫大なので、家庭用コンポストの量はさして問題に上がることが少ないためデータがあまりないのでしょうか。(大型コンポスト施設などでは発生したメタンを回収再利用することで環境負荷を低減できるようですが、家庭で発生したメタンの回収はちょっと無理そうですよね)。メタンの温暖化係数はかなり高いのでちょっと気になりますが、多くの環境系提言(例えばこれとか)や行政ではコンポスト化は推奨されてますんで、やはり焼却や最終処分埋め立てなどよりはフードロスやら輸送負荷やら総合的に考えてまあマシなんだと思います。(カーボンニュートラル的な考え方も関係あるのかも?謎です)ただ、嫌気性発酵より好気性発酵のコンポスト方式の方がよさそうですね。詳しい人いたら教えてください。