saoriotsuka-diary

イラストレーター大塚砂織の由無し事を綴るページです。仕事の紹介もしますが、ベランダ園芸の話やたわいない話が多いかも。

ツールドフランスファムが来た!

トップページの絵、3枚目はこちら。

 

今年はTour De Franceの女子選手版大会、Tour De France Femmes avec zwiftが開催されましたね。去年までもGrande Boucleという名称でいちおう女子レースはやってたらしいんですがわたしも見たことがなく、今回から公式にTour De Franceの一環として世界テレビ中継もされたのでやっと見ることができました!

わたしはツールファンで、もうみんながあまり語りたがらない(汗)ランス7連覇の頃からずーっと見てるんですが、やはりそれ以降あんなことやこんなことが多すぎるのでどうも好きなんだけど好きといっていいのかしらん、というか、毎回若干疑心暗鬼になりつつも見てる感じ(いや、でも選手は本当に一生懸命やってると思うんですよ)なんですが、なんだかんだ言っても、夏の始まりにフランスのあの美しい日差しに満ちた景色を自転車が通り抜ける画面を見てるだけでつい心が躍ってしまいます。

で、今回からファムが始まるということで、いつもだったら男子のツール最終日、シャンゼリゼのフィナーレを見ると一足先に「ああ、もう夏も終わりね」という切ない気持ちになるんですが、なんてったって、今回はシャンゼリゼからスタート。そして、この日を待ちわびていたであろう女子選手たちの歓喜の爆発に、じーんとしてしまいました。レースは男子の3週間に比べ1週間の短い日程で盛り上がるかちょっと心配してましたが、なんのなんの。長丁場での駆け引きとはまた違う毎日乱気流というか、劇的な展開でレースの初心に帰るような面白さがあり、最後までハラハラしっぱなしでした。フィナーレが昇り切っての山を制したところで、クタクタの選手たち、でも表情にはやりきった喜びと達成感がいっぱいで、チームメイトたちと地べたに座り込んで談笑しながら喜び合う姿を見るのも、男子で見慣れたゴージャスなフィナーレとはまた違った勝負のすがすがしさもありました。来年も楽しみです。

今回のレースでは今まで女子ロードシーンを支えてきた選手たちが活躍し、優勝のマイヨジョーヌは39歳のファン・フリューテンでしたし、マイヨヴェールのマリアンヌ・フォスも35歳とベテランが活躍してたのも最高でしたね。そして、夏の日を駆け抜ける選手たちを見た世界中の女の子たちが「わたしも選手になれるかも!」と胸をときめかせて、10年とかのちにそうした「ファムの幕開けを見た世代」がまた第一線で活躍するであろうと考えると、それも楽しみです。

 

それと、ちなみに、今回ツール男子はデンマークコペンハーゲンがスタートでしたが、このコペンハーゲンも、フィナーレのパリも、また今回女子の表彰台を独占したオランダも、急速に都市の「自転車化」を進めている街なんですよね。気候変動の時代、なんでもかんでも車、ではなく、自転車や公共交通、徒歩でCO2排出の少ない、また人にやさしい街づくりを進めていくのって大事ですし、そういう意味でも今回のツールの盛り上がりは希望が持てるのではないでしょうか。

もちろん、車を使う人には車を使わなければいけない理由というのがありますし、駅が遠い生活の人、体が不自由な人など車は必需品という場合や、荷物を届けてくれたり救急車だったりなど、まだまだたくさんあると思いますので電気自動車などの発展も並行して必要ではありますが、街自体がもっと車なしでも楽に移動できるような設計で改良されるのも選択肢が増えていいなあと思います。自転車や歩行者が移動しやすい街になるというのは、自転車と歩行者が専用道で分離したり、段差がなくなったりで、つまりは道、街自体の安全性も高まるわけで、車椅子の人などにも使いやすい街になるというメリットもありますし、トラムなどが走れば、バスよりも安定時間運行が出来て車がなくとも気軽に街を移動しやすくなりますしね。以前旅行で行ったアムステルダムの街はトラムに地下鉄、自転車が交通の主で、市街にあんまり車が走ってなかったんですが、それでもやっていけるならその方が空気もきれいだし、ゆったりしてていいのかもしれません。個人の生活の中ででっかい荷物とかどうするんだろう、とか、子供連れはどうするんだろう、と思ったら、でっかい荷物を運べる自転車や子供を乗せるトレーラーなんてものも当たり前の顔をして走ってたりもして、そういう発達の方向も面白いなあと思いました。

さて、日本でもこれから交通網や都市再開発の際などにはそういうアムステルダム、パリ、デンマークのような環境配慮に意欲的な街づくりのアイデアのよい部分が採用されてほしいなあと思います。(ちなみに、トップのイラストのようにパヴェ、敷石のゾーンはツールの選手たちは腕の見せ所でレースの華みたいなところはあるんですが、実用的には自転車にはちょっときびしいので、実際にはもっと平らな自転車レーンが望ましいですね、はは)。

 

さて、我が家は生活インフラへのアクセスには便利な平坦地に住んでるので、なるべく車を使わずに済むときは使わず、ちょっと遠いところまで買い物などに行くときも徒歩1時間ぐらいまでなら歩きで行ったりしてるんですが、夏にこう暑かったり、荷物が多かったりだとどうしても車に乗ってしまう時もあります。自転車を一台だけ持ってるのですが夫婦で出かけるときには使えなかったので、このファムの感激にあやかってこの機会にもう一台自転車を買い足してもっとあちこち自転車で行こうかなと思いました。なにより、自転車で風切って走るの、楽しいですし、自転車なら前のかごに米、背中に猫の砂背負って、ぐらいの荷物なら余裕でいけますしね(勾配20%激坂とかは無理ですけど!)。

ただし、自転車とはいっても、車輪が付いててスピードは出ます。日本はまだ道路事情が必ずしも自転車向けでないところも多々あるので、くれぐれも安全運転は大事ですよね。徒歩で歩道を歩いてると、たまにすごいスピードで後ろから自転車に追い抜かれることがあるんですが、うっかり少し歩行者が横にズレたりしたら激突大惨事なのではとひやっとします(特にわたしは路傍に生えてる草とか気になってついついリアル道草しがちなうっかり者なんで...)。車を持ってる人は道路交通規則を一通り習ってるはずですが、歩行者とサイクラーってそうでもないんですよね。道路交通規則の教育機会を増やすのも大事かも。

安全面で言えば人にやさしい街になるには、(緊急車両などは除いて)全体に移動のスピード自体がもう少し遅くてもよい社会というのを作らないといけないというのもありますね。そうなると交通手段だけの話ではなくて、「忙しさの緩和」も重要な要素なのかなあと。