saoriotsuka-diary

イラストレーター大塚砂織の由無し事を綴るページです。仕事の紹介もしますが、ベランダ園芸の話やたわいない話が多いかも。

カレンダーについてのお話 遠い8月

 

 

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カレンダーのイラスト紹介をまだやってるわけですが、初志貫徹で全部やり切りたい、(というか、やり切るよ!)のですが、8月で滞ってました。

というのは、今めっぽう寒いんで、8月のことが考えられない、という理由なのでした。それかい!

昔子供の頃、手塚治虫の漫画の描き方だったか、あるいは他の本だったか忘れてしまいましたが

「見たものしか描けないのなら雪男などは描けないので、漫画家には想像力が必要である」

みたいな話を読んだことがあり、ほほー、なるほど!と思いましたが、イラストレーターもそれはあって、今ここでない場所や状況、行ったことない外国とか、自分が共感を覚えない状況とか、ファンタジックな嘘とか、そういうのが描ける、空気感をつたえられる、というのも大事な能力です。

が、いっぽうで今思い出しましたが、昔、有名な話ですが、ある才能あふれる人気CMディレクターの方が

「リッチでないのにリッチな世界などわかりません

 ハッピーでないのにハッピーな世界などえがけません」

という言葉を残してなくなられたということがあって、その言葉を絵の勉強をしてた頃に初めて知って衝撃を受け、考えさせられたものです。その方は有名で才気あふれる人でしたので、そんな方の言葉に自分を引き合いに出すのもおこがましいのですが、実際、庶民のわたしは自分のスケール感の中の世界しか引き出しにない感じがしますし(その言葉が含意してたのはもちろんそんな単純な話ではないとは思いますが)、まあ、現実問題、どっちもあるなあと思ったりします。

また、さらに最近は

「知らない物事をうかつに描くことで誰かを傷つけることもある」

というのも気をつけねばならないなあ、と。たかが絵、されど絵、いろいろ考えながら勉強しつつ、描くしかないんですねえ.......

って、この絵とは全然関係ない話に盛大に脱線しましたが、そんな大仰なことが書きたかったわけじゃなく、単に「真冬に夏の暑さを思い出すのが難しい」というだけでした、ははは。

 

で、この絵は確か10月ごろ描いたんですが、10月というのは夏の暑さも覚えていながら、冬の雰囲気も思い出しつつある、そして春の陽気にも近い日もあったりするのでそこで春を思い出したりして、四季を描くにはなかなかうってつけな時期なのではないかと思います。では逆に、春もしかり、なのかな?と思うと、春は、なんだか春は「これから始まる!」というそわそわした雰囲気が強くて、「翳りゆく秋」のイメージを思い出すのがちょっと難しいような...、はて?なんでだろ。

 

と、絵の内容に入る前の盛大な前振りは置いときまして、この絵は夏の夜のゆったりとした怠惰で楽しげな雰囲気を描きました。夏の夜、いいですよねえ、暑さが和らいできた夕暮れ時、野外で生ぬるい風に当たって、ちょっとお酒なんか飲んで(ビアガーデン!)、気の合う友達とだべったり、音楽聴いたり。舞い飛ぶ夜のパピヨンたちや虫の音もオツなものです。

しかし最近では夕方過ぎて夜になっても外がちっとも涼しくない、どころか、外になんかいたら身の危険が!なので、外のテラス席を陣取るという感じでもなく、つい室内の冷房の効いた店内でビール、という感じのほうが多いかもしんない。

そのうち、気づけば、穏やかでうららかな気候がどの季節においても思い出せない、以前と違う気候が苛酷化した世界、というふうになってきたりするのかも...って、また不穏な話になってきたので、今日はこの辺で。ではー。