さて、まだ書く事あるのかよ。って感じですが、まだちょっぴり続くんじゃよ。今回はコンポストにまつわるスピンオフというか、よもやま話です。
植木鉢で植物を育ててると、あんなに元気だったのに、あるとき急にめちゃくちゃ弱って枯れちゃった。という事があります。そういう場合、鉢から根を抜いてみるとスッカスカ、そして鉢の中にはコガネムシのお子さんたちがわんさか。という有様だったりします。困ったもんです。
で、普通、園芸書などではよく「コガネムシとハナムグリの幼虫は似ている※1(成虫はそれなりに見分けがつきます)が、コガネムシの幼虫は根を食べる害虫であり、ハナムグリの幼虫は腐食などを食べる益虫である。
よってコガネムシの幼虫はサーチアンドデストロイがよろし」と書いてあるんですが、「えー、なんか、殺すのもな...」という腰が引けた人間のわたしとしては悩ましい問題で、つまりは多少予防はする(後述)けど、出ちゃった場合なんとなくやられるがままレッセフェール方針だったんですが、ふと「根を食べるという事は、ふだんコンポストに入れるとけっこうかさばって悩ましい豆苗リボベジの2回目後の根とか食べてもらったらいいんじゃない?」と気づきまして、今度出たら試してみようっと、と思い立ちました。
で、ある時、彼らが紫陽花の鉢にいらっしゃったので試しに別の鉢に土を入れてそちらに移っていただいて、豆苗の根とか、雑草抜いたのとかをぽいぽい上に乗っけてたんですね。そしたら、あーら、すっかり食べてくれるじゃないですか。気を良くして豆苗を買うたびに終わったら根を与えておりました。ついでに台所の片隅でしなしなになってた里芋を「根が生えたらまあ君らにあげますよ」ぐらいのつもりで埋めといたら、そのうち忘れた頃に里芋が育ちまして。
冬になって掘ってみると、彼らは旅立っちゃったみたいでもう全然いなくて、小さな里芋たちと、すんごくいい感じのふっかふかの土が残されたのであった(いや、実際コガネムシが食べた後の土、すごいいい感じの状態なんですよ)。
ので、まあ、コガネムシが出たら「豆苗の根処理用コンポスト」を試してみるのも一興ではないでしょうか。(ただし注意ですが、巣立ったコガネ氏たちがすぐ近場の鉢でまた繁殖されると困るんで、この鉢は他の鉢と隔離した裏のベランダでやってました)
ところでさっきの「カナブンなどと違ってコガネムシは腐食は食べず生きた根しか食べない」いう話。調べてみると、やっぱり幼齢幼虫は腐食なども食べてるそうです。なので腐食=コンポストを入れた土にはよく来るんですね。アメリカミズアブさんみたいに未分解の生ごみをなんでも食べてくれるってわけにはいかないみたいですけど。
はて、そうは言ってもやっぱりふだん植物を育てる時は、手加減知らずのコガネ氏に根っこを食い尽くされてほしくないってのもありますね。その場合、鉢の表面の土をなんかで覆っとくのが吉です(しかし前出のように腐葉土とか腐食で覆うのは悪手です)。
わたしの対策は、あんまり参考にならないかもしれませんが、割れた植木鉢(これも長年ベランダ園芸をやってると豊富にあって処理に困りがち)を敷き詰めてマルチングしています。こうするとコガネ氏が卵を産みにくるのは多少防げるかなと。逆にダンゴムシちゃん(彼らも根は食べます)なんかにはいい住処になりそうな気がしなくもないけど、ダンゴムシのせいで植物が枯れた、というような甚大被害にはあったことないのでよしとしてます。
あと、これは完全に気のせいかもしれないんですが、実感として、表土に多肉植物を覆わせて同居させてる鉢ってコガネムシが来にくい気がするんですよね。
これだとちょっと足りないけど、コンセプトとしてこういう感じの状態。
と思ってネットで調べたら、そう主張してる方が他にもちらほらいたんで、もしかしたらやっぱりいいのかも。たぶん。きっと。そうね。
しかもこれ、栽培状態のものじゃなくてもいいというか、多肉ってぽろぽろ葉が落ちたりするじゃないですか。その葉を集めて敷いておくだけでも効果がある気がするんですよね(これは完全にわたしの経験則なんでエビデンスはないです、試して「そんな事なかったぞ」と言われても責任取りかねますのであしからずすみません)。
まあ、でも、思うんですよね。コガネ氏や前回のコバエさんやアメリカミズアブさんも、ダンゴムシちゃんなども、そしてもっとミクロなところでは菌たち、そういう分解者の方々がいるおかげで地球上の有機物が無機物に帰って地球上が「いやーな感じのごみで無限永遠に埋め尽くされる」みたいな事が起こらず済んでるわけですし、無機物のミネラルなんかを菌根菌が植物に渡して有機物にまた循環し、わたしたちも生きてけるんですから、ありがたいものです。人間の都合で利用したり邪魔にしたり勝手なものだと思いますが、わたしたちも快適に生きたいですからどうしても人間世界目線で付き合うと邪魔者扱いしてしまう事になるシーンは多々あります。ありますが、なるべく虫ちゃんたちなど人間以外の世界から見てもいい感じで共存できるにはどうしたらいいもんか、もっと知恵を絞れたらいいのではないかなあと思います。
●猫草緑肥ー可能性無限大えん麦
猫ちゃんと暮らしてると、猫草を種蒔いて栽培などして猫ちゃんのサラダバイキングにするわけなんですが、猫ちゃんというのは新鮮な猫草が好きなもんで、自分が食べ散らかして枯れてきた猫草にはもう見向きもしないわけですよ。
そういう感じで滅びた猫草と元気な猫草をローテーションして栽培してるんですが、その滅びた方、引っこ抜いて捨ててませんか。しかし猫草というのは正式名称えん麦でありまして、緑肥植物として使えるそうです。ですので、わたしは滅びた猫草はちょっと乾かしてハサミで細かく切って、キエーロ的に使ってるプランターの土の中に混ぜ込んでしまいます。土壌微生物も増えるらしいですし、一石二鳥です。
下の滅びた感じの猫草を、上のように混ぜ込みます。しばらくすると分解されちゃう。
しかも、えん麦って、あの低環境負荷と高タンパクで最近噂の小粋なあいつ、オートミールらしいですね(細かく言うと品種とかあると思いますけど)。うちは猫ちゃんが食べて滅びるばかりですので実がなる段階まで育てた事がないんですが、いわゆる雑草的な感じでほとんど何もしないで育つし、人間目線でいうとなんて優秀な植物なのでしょうか。もっと活用した方がいいのかもしれない、人類。
●根本的なことですが...
コンポストは確かに便利ソリューションなのですが、それでも回転運用のキャパもあるのでやっぱり生ごみ自体を減らす、というのも大事かなあと思います。
我が家の場合、根付き野菜はリボベジしてみたり、クズ野菜と称される状態のものは、たいてい小さく刻んでスープとかに入れちゃったり、煮てからハンドミキサーでガーしてポタージュにというパターンもあり、にんじんとか食べられる皮のものは皮をむかず(というのは、無農薬のものを買った場合はもちろんOKですが、そうでない場合も、ごぼう以外の根菜って出荷前に泥を落とすためすでにかなり洗浄されてるかなというのと、農薬を使用するとしたら根は直接かかるというより浸透移行性のものではないかと思うんで、その場合皮だけ剥いても無駄な抵抗なんではないかと思うのと)、可食部は無理のない範囲でなるべく食べます。ただ、農薬は使用基準があるので安全だ、という向きもあり、それも一理あるのかもしれないんですが、実際自分が土に返してまたその土で栽培して...というのをやってみると、まあ、使ってるよりは使ってない方がいいかなあ、という気持ちはしますね。実際自分が栽培するものには農薬使いませんし。ただ、わたしもそんな裕福じゃないんで、いつも無農薬栽培の野菜とかばっかり買えないというのも本音です。
話がちょっと脱線しましたが、ごみ減量の続きに戻りまして。我が家は食いしん坊ぞろいで食べ残しが一切出ないんで、調理済食品のごみが出ないのはコンポスト的には有利かも。塩分とか汁物っぽい生ごみがあるとまた腐敗の問題とかがちょっとややこしくなりそうです。
それでもやっぱりごみはでるもんで、多いのは果物の皮、玉ねぎの皮、かぼちゃのわたや種(これも工夫すれば食べられるようなんですが、さすがに種を洗って炒って...とかそういうていねいな暮らし的な時間はなかなか取れませんねというかごめん、正直めんどくさい)、コーヒーやお茶の出がらしが多いです。
あとのごみは、恥ずかしながら、やっぱり冷蔵庫の片隅で忘れ去られてすでに滅びてしまった(カビたとか)野菜とかもたまにあります。外出を控えた方がいいようなご時世が続く中、まとめ買いなどもしがちですが、自分のキャパオーバーの買い物もしないように気をつけないといけなかったり、いやはや、やっかいな世の中ですね。あ、ちなみにちょっとやそっとのカビなら、コンポストに入れても問題ないというのが実感です。入れるなってよく書いてありますけども、四六時中カビたものを入れるんではなくて、少量たまになら問題ないと思います。
そんなこんなで好事家の視点で3回、長大に書いてきました。ここまで忍耐強く読んでくださった方、ありがとうございます!が、社会的な話として、もっと根本的な大どんでん返しを最後に言ってしまいますが...
個人がコンポスト処理しなくとも、ある程度分別収集をして集めた先で行政がシステマチックにコンポストやってくれたり、販売側の企業のフードロスとかも企業さんでコンポストするのがもっと徹底されたり、もっと言えば生産過剰とか物流や分配時点での無駄を減らせるような、蛇口を閉める方向での最適化ができたら話が早いというか、世の中全体でもっと省資源化や温暖化ガス削減、ごみ問題の解決ができるんじゃないかなーとも思います。本当そのへん頼みますよ、偉い人!
以上、この文章誰に需要があるんだろ、と自分でも大変疑問です。まあ、知りたくて検索して辿り着いた物好きな誰か(という事を自分がよくやってるんで)の目に留まる事を願いつつ、ではこの辺で。
ベランダ菜園は楽し。しかし次の大規模修繕が怖い。怖いんだったら。
※1 コガネムシとハナムグリの幼虫の見分け方は、「土から出しておくとまっすぐ前に進むのがハナムグリ、ひっくり返ってもぞもぞ鈍いのはハナムグリ」(リンク先動画虫ちゃん注意)らしいです。まあそもそも「植物が弱ってきて存在に気づく」わけなんで、鉢にいるのは十中八九というか十、コガネ氏ですね。コガネ氏にもドウガネブイブイとか種類あるんですが、以前畑をやってた時に夕方すんごい音で畑に飛んできたのに遭遇して、なんで「ブイブイ」って名前なのか腑に落ちました。本当、暴走族並みにブイブイ爆音なんですよねー。