saoriotsuka-diary

イラストレーター大塚砂織の由無し事を綴るページです。仕事の紹介もしますが、ベランダ園芸の話やたわいない話が多いかも。

佃煮をお探しですか?

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と、amazonからメールが来たのです。いや、全然お探しでない。そもそもamazonは滅多に利用しないのです。が、よーく考えてみると、多分随分前に、海苔の佃煮が食べたくなって、調べた事があったような気がします。そんな昔の事を覚えていたのか、お前は。そして、その時に結局amazonでなく近所のスーパーで買った海苔の佃煮があったはず、と思い至り、食品庫的なゾーンを探したら、ありました。賞味期限、大丈夫かしら。と思い確認しましたら、今年の10月まで大丈夫でした、ほっ。しかし、完全に忘れていたので、いけないいけない。早く食べなければ。

 

最近は便利なサービスがいろいろあって、たくさんのリマインダーがメールやSNSに舞い込みます。ひとつひとつは小さなお知らせですが、積もり積もると生活の中の集中力というかが削られるというか、散漫になる気がしますね。常にセールのお知らせ、新商品の紹介、この人が投稿しました、以前寄付や署名したこの件に進捗がありました、などなど、確かに知ると便利な情報ではあるのですが、わたしの脳はあまり情報処理容量が大きくないので、メールチェックのたびにうっかりそこに誘導されたりして、はて、わたしはそれまで何をしてたのかしらん。となってしまう事が多いです。

 

その割には、本当に重要な事のリマインダーをうっかり見逃したりして、カレンダーに仕事の〆切りなどの予定を書いてるのですがいつもヒヤヒヤです。よくあるのが、「カレンダーに自分が間違った予定を書き込んでしまった、あるいは書き込まなかった」という事例で、いくらハイテクの現代でも、そんな基礎的なミスをするような場合はどーしよーもないですね。とほほ。

また、通知が多すぎて大事な仕事のメールが埋もれてしまったりするのも大問題です。なるべく余計なメルマガや宣伝が届かないように設定するんですが、そのサービスを解除するためにログインするためのパスワードが忘却の彼方だったりするものもあり、それこそ誰か、思い出させて!って感じです。

 

そして、たくさんの思い出さなければいけない事に囲まれてはいるんですが、本当にわたしが思い出したい事とはなんだろうか、とフト思ったりします。

 

先日夕方、遠くのスーパーまで散歩がてらに歩いて買い物に出かけたのですが、逢魔が刻のはかない時間、世界中が不思議なピンク色の夕焼けに包まれ徐々に蒼い夜に変わっていくのを、しばし立ち止まって眺めておりました。子供の頃は、こういう時間、暗くなるまで疲れを知らずに外で遊んでいたなあ。あるいは、仕事を終え、寝ようかという時間にもう朝日が上がってるのですが、窓を開けると、空気の匂いがなんというか、林間学校に行った朝の、期待と不安の入り混じった気分を急に思い出させてくれる事もあります。

 

本当に「思い出したい」ものって、新鮮な喜びや期待、胸ときめく好奇心なのではないか、と夕日にひとりごちる中年(というかもう中高年ってやつかも)です。そして、そうした気持ちをいつもふいにリマインドしてくれるのは、巡ってくる季節の機微だったりしますね。いい年しても人間ってやつは(主語がでかい。わたしは、ですね)夕日に胸焦がしたり、海岸で貝殻拾ったりしたいのです。もっと時を惜しんで、季節に身を浸したいものだなあ、という思いと、いや、大人なんだから仕事とか忘れてぼーっとしてはいかん、いつまで夏休みの子供気分なんだ、自分。という呵責の間でせめぎ合う夏の夕暮れです。